シーノ・タカヒデがケニアで個展をはじめて10年の区切りということで、2月22日にケニアでのライブイベントを準備してきたのですが、現地で突然の暴動が起き、最終的に中止を決めました。この間の記事をまとめておきます。
ぴがぴが in ケニア中止の経緯については⇒下にスクロール
ケニアの暴動をめぐって
ちょっと長くなってしまうかもしれませんが、この間のケニアについて、自分なりに理解したことを書きとめておきます。
- ことの発端は12月27日に行われたケニア大統領選挙で、対立候補の野党ライラ・オディンガ氏(ODM党)優位で開票が始まるなか、30日に現職のムアイ・キバキ大統領(PUN党)の当選が発表され、即座に大統領に就任したことにあった。
- 本来28日に予定されていた結果発表が延びていったことや、選挙管理委員の一部からも不正が語られるなど、票数の不正操作があったのは明らかだった。同時に行われた国会議員選挙では、大統領の与党PUN37議席に対し、野党ODMが104議席を得ている。
- これに怒った熱狂的なODM支持者らが暴徒化。店や民家を襲い、略奪したり放火したりと、ケニア各地で騒乱(騒乱は29日から起こっている)。混乱に乗じて略奪や焼き討ちに加わる人々も多かったと思われる。そこにキバキ大統領のキクユ人とライラ氏のルオ人という出身民族の違いが加わり、キクユ人がその他民族から狙われ、その報復も起こる。
- 一方、大統領の下にある治安部隊は強圧的に暴徒には銃撃で対応しているもようで、1月7日現在486人(別の報道では600人)が殺害されている(焼き討ちなどで殺された被害者と、衝突で治安部隊に射殺された人々ということになる。その内訳は不明)。
- 人々は暴徒から身を守るため家に籠城したり、危険を避けて平穏な場所(全土が騒乱状態にあるわけではない。たとえば同じナイロビでも高級住宅地なら別世界だろう)に逃れたり、苦しんでいて、報道では避難民化した人々は25万人におよんでいる。最大の被害者は、政治対立とは直接かかわりのない大多数の人々である。
- 個人的な印象を述べれば、原因をつくったのは票操作までして権力にしがみつくキバキ大統領で最悪だが、一方のライラ氏にしても同じ穴のムジナに見える。暴動を直接あおる発言は報道では見あたらないが、自らの支持者ともいえる人々の暴動を抑えようという姿勢が見られず、質の悪い“政治屋”なのかとさえ思えてくる。彼が大統領になったとしても対立をあおることしかできないんじゃなかろうか。
- すでに政治的な対立から、民族間の対立という面が出てきていて、もし両政治指導者が力での対決姿勢を続けるなら、民族間の衝突から殺し合いへと、とり返しのつかない事態にエスカレートする可能性があり心配だ。
- ここでとどまることができればいいが、一度民族対立に火がついたら、引き返すことがいかに困難かは“ルワンダの悲劇”がおしえている。両指導者とも早く頭を冷やし、自分がやっていることが何をもたらすのか考えてみろといいたい。
- ノーベル平和賞受賞者でもある南アフリカのツツ元大司教(3日ケニア入り)をはじめ、米国からはフレーザー国務次官補が4日現地入りし仲裁に乗りだしている。ちなみに日本の高村正彦外相は、グッドタイミングでこの地を訪れるはずだったのに、ケニア訪問をとりやめ、となりのタンザニアで4日夜(5日未明)談話を発表しそそくさと帰っていった。このとき仲裁とまでいかなくても両者の話をじっくり聞くだけでも意味があったのに、なさけないし、恥ずかしい。
- さまざまな仲裁にもかかわらず、キバキ大統領、ライラ氏、ともに自己主張をくりかえしている。8日現在、暴動は小康を保っているようだが、解決への糸口はまだ見えていない。
- ケニア内からも平和と安定を求める動きが出ている。報道規制が敷かれるなかで、報道機関が連合を組み抵抗している。
- アフリカ連合(AU)議長クフォー・ガーナ大統領がケニア入りし、11日にキバキ大統領、ライラ氏の直接会談が開かれるもようで、そこが今後を決めるひとつの鍵になりそうだ。
- 若干わき道にそれるが、現地の観光会社からのリポートはおおむね平穏を語っている。観光客は別世界にいるんだし、観光客が行くところまで襲われるとすれば、最悪の事態になったということだろう。そんなことにならないよう願っている。でももう少し足下のケニアのこと、隣のケニア人のことに敏感になってもいいんじゃないだろうか。
遠く離れた日本でやれることはほとんどないように思える。自分の場合は、ひとつはケニアで何が起こっているか注目すること。そして友人ならがんばってほしいと声をかけるように、たとえば署名など何らかの方法で意思を伝えることしかないのかと思っている。
2008.1.8、1.9(荒川俊児)
●ケニア現地から日々刻々と伝えられるリポート。これは読んでほしい。
⇒大統領選挙によるケニア暴動レポート(早川千晶、大西匡哉)(http://www.maisha-raha.com/Riot%20in%20Kenya%20Top.html)
●ニュース映像(YouTubeから)
⇒2008年1月11日BS1「混迷ケニア・民族の亀裂の行方」前編・後編
⇒ケニアの放送局
NTV Kenya(http://www.youtube.com/user/NTVKenya)
●ケニア暴動についてまとまって書かれた報道は
⇒毎日新聞白戸圭一記者の現地リポート 2008.1.7(http://mainichi.jp/select/world/news/20080107ddm007030112000c.html)【掲載期限切れ】
⇒毎日新聞白戸圭一記者の現地リポート 2007.1.9(http://mainichi.jp/select/world/news/20080109ddm007030059000c.html)【掲載期限切れ】
●暴動の被害については
⇒ケニア赤十字社の緊急アピール
2007.1.7(http://www.jrc.or.jp/active/saigai/news/1329.html)
●ケニア人の呼びかけによる国際署名とその日本語訳
⇒CALL
FOR URGENT RESOLUTION OF KENYA ELECTORAL CRISIS(http://www.petitiononline.com/kenya08/petition.html)
⇒ケニア騒乱の早急な解決を求める国際署名の説明など(http://www.arsvi.com/0i/2ken.htm)
●“ルワンダの悲劇”については、たとえば
⇒映画『ホテル・ルワンダ』
ぴがぴが
in ケニアの準備から中止まで
毎年2月にケニアに行っているシーノ・タカヒデですが(たとえば2005年のとき)、ケニアで個展をはじめて10周年をしめくくりたいということで、今回は2月22日にナイロビでライブイベントを準備しています。地元のバンドMAZENBE
TRIOのほか、ちょうどそのころ出かけている日本のミュージシャンにも加わってもらって、にぎやかなイベントにしようとしています。
これにあわせてケニアツアーが企画されています。現在募集中のツアーは、2/16日本出発、2/17ナイロビ到着で、サファリツアーのあと2/22のライブに合流、2/23にキリンセンターに行ってから出発、2/24に帰国するというコースです。(現地のツアー料金が1360ドル=約15万円、別途航空券が15万円くらいか。現地ツアーの主催はDoDo
World)
興味ある方は、シーノ・タカヒデ(Tel.03-3879-3552)まで連絡ください。資料をお送りします。ぴがぴが事務所に連絡いただいてもかまいません。
2007.9.8(しゅん)
あけましておめでとうございます。
今年のぴがぴがは、2月のケニヤでのイベントでスタートです。3月には新宿でライブがあって、5月になると横浜でアフリカ開発会議が開かれるので、これにあわせていろいろイベントがありそう。シーノは、6月から7月にかけてアフリカはサントメプリンシペで開かれるビエンナーレ(国際美術展)に参加すると言っているし、2008年はアフリカがらみでいろいろ動きそうな気配です。2年前のアフリカミュージシャン来日ラッシュがまた起きないかなあ‥。
で、ぴがぴがナイトの方は、夏にできればいいなとは思うけど、私自身はやりたいことはだいたいやったんで、誰か推進役が出てきてほしいところ。 残るは野外イベントなんだけど、頭の片隅において実現の可能性をさぐりましょう。
ということで、2008年もよろしくお願いします。みんなたのむね。
2008.1.1(しゅん)
↑と、元旦に書いたのですが、その夜、ケニアで大統領選挙をめぐって騒乱・暴動が起こっているとのニュースが飛びこんできました。
ケニアはアフリカのなかでは安定した国と聞いていたので、いったいどうしたんだと思いながらニュースを追っていたのですが、ことは根が深く、これから沈静化の方向に向かうのか暴動が拡大してしまうのか、瀬戸際にあるように見えます。
今年は2月22日の ぴがぴが in ケニアからと張りきっていたのですが、状況が解決に向かわないかぎり実施はできないなと思っています。ケニアに行く人たちが18日に集まるので、相談のうえ実施するか否かの最終決定をくだしたいと思います。
2008.1.8(しゅん)
結論を先に書くと、ぴがぴが in ケニアは中止することになりました。
1月18日の時点では、実施する方向で進め、状況をひきつづき見ながら最終的には現地に行った時点で無理なときはやめることも含め判断することにして、チラシづくりなど準備を進めたのですが、1月29日に現地ツアーに行く人たちから旅行中止の連絡が入り、それを受けてシーノ・タカヒデがぴがぴが
in ケニアの中止を決めました。
シーノからは「今回は申しわけない。“アフリカアート描きまくり!10年目計画”イベント&ツァーも、残念ですが何だか、あっけない幕切れでしたが、ここは気持ちを切り替えて、また一から動きだす予定です」とのメッセージが入っています。
2008.2.22(しゅん)
ぴがぴが
in ケニア Piga Piga in KENYA
2008.2.22 at ナイロビ・ビレッジマーケット=中止=
ケニアで個展をつづけてきたシーノ・タカヒデが、ケニアでの10年をしめくくりたいということで準備してきたナイロビでのライブイベント。地元のマゼンベトリオのほか、現地ツアー中のアニャンゴ
with ニャティティ・ワレンボ!!とそのお師匠さんたちも加わってくれることになり、にぎやかなイベントになりそうです。これにあわせてのツアーも決まり、荒川も手伝いかたがた遊びに行くことにしました。ケニアに行きたいと思っていた人、この機会に行きませんか。‥…と書いたのですが、中止になりました。
2008.1.1、2.22(しゅん)
出演:
マゼンベトリオ Mazenbe
Trio(from KENYA)
アニャンゴ with ニャティティ・ワレンボ!!
Anyango with Nyatiti Warenbo!!(from JAPAN)
シーノ・タカヒデ(ライブペインティング)
ほか
日時:2008年2月22日(金)午後
会場:ナイロビ・ビレッジマーケット内展示場
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